このサイトについて
デマ図鑑は、実在した誤情報・偽情報の事例からデマの「手口」を妖怪として観察できるようにした予防教材データベースです(現在 53 事例・14 体を収録/2026-07-14 時点)。
このサイトの考え方 — なぜ「図鑑」という形なのか
「フェイクニュース」とは
「フェイクニュース」という言葉に、国際的に定まった定義はありません(総務省「プラットフォームサービスに関する研究会」最終報告書・2020年)。政策や研究の場では、勘違いや誤解から広まる誤情報(ミスインフォメーション)と、意図をもって作られる偽情報(ディスインフォメーション)の2つの言葉が使われます。当図鑑はその両方を扱い、発信の意図は立証しません(検証機関が決着させた事例のみを収録します)。
なぜ「事後の訂正」だけでは足りないのか
米MITの研究チームが約12万6千件のニュース(の拡散)を分析した研究(Science・2018年)では、偽のニュースは真実のニュースより約70%リツイートされやすく、真実が1,500人に届くまでには偽の約6倍の時間がかかりました。また国内の大規模調査(Innovation Nippon 2024・国際大学GLOCOM 山口真一氏ら)では、偽・誤情報を見聞きした人のうち「誤っている」と気づけた人は14.5%でした。一度信じた情報は、訂正のあとも影響が残ることが知られています(継続影響効果)。拡散の速さに事後の訂正だけで追いつくことは難しい——だから「事前の予防」が必要になります。
心理的接種(プレバンキング)という考え方
心理学には、弱められた形の「だましの手口」に先に触れ、見破り方をセットで知っておくと、あとから来る同じ型の誤情報が効きにくくなる——という研究の系譜があります(心理的接種・プレバンキング)。ケンブリッジ大学のサンダー・ヴァン・ダー・リンデン教授はこれを本書で「心のワクチン」と呼び、体系的にまとめています: 『フェイクニュースの免疫学 — 信じたくなる心理と虚偽の構造』(みすず書房、2026年、監訳=笹原和俊)。とくに、個別のテーマ(内容)ではなく「どういう手段で騙しに来るか」(手口)を学ぶ方が、テーマを超えて効きやすいことが知られています。
この図鑑の対応(当サイトの整理)
- 妖怪=内容でなく「手口」への接種 — 中身は毎回ちがっても、ハメかたのパターンは繰り返し使われる。妖怪を知ることは、そのハメパターンを知ること(各妖怪ページの定義が本書の技法に対応 → 妖怪さくいん)
- 決着ずみの事例=弱い形での曝露 — すでに見破られた実例を、安全なかたちで先に見ておく
- 弱点属性・「こうかばつぐん!」=見破り方の事前提供 — 手口には必ず見破り方を併記する
- 「見慣れ」=くり返しの接種 — 効果は永続しないから、何度でも会いに来られる図鑑の形をとる
この考え方の限界(必ずお読みください)
- 予防のための教材であり、治療のためのものではありません。すでに強く信じられている考えを変える働きかけはしません。
- 心理的接種の効果は中程度で、時間とともに薄れることが研究で示されています。だからこそ、くり返し眺められる図鑑の形をとっています。
- 接種の効果は特定の教材・ゲーム・動画を用いた実験で確かめられてきたものです。この図鑑そのものの効果を測定した研究はまだありません。
- 当サイトは真偽の裁定者ではなく、判定は検証機関・公的機関に帰属します。投稿の削除や検閲を行う立場にもありません。
この節の出典
編集方針
- 怖がらせない。「見慣れ」させる。妖怪は接触回数を増やして手口への見慣れをつくる装置です。恐怖ではなく、弱点属性(見破り方)を必ずセットで示します。
- 妖怪=手口であって、人ではありません。発信者・拡散者・騙された人を妖怪で表現することはありません。
- 事実と出典のみ。評価的な形容(「ひどい」等)を使いません。
- 判定は検証主体に帰属します。「気象庁が否定」「日本ファクトチェックセンターが誤りと判定」のように、誰が確認したかを必ず示します。当サイト自身が真偽の審判をすることはありません。
- 決着済みの事例のみを扱います。現在進行形で真偽が争われている事案は載せません。
- ジョークサイト・風刺メディアが意図的に作る創作記事は、本図鑑が扱う誤情報と性質が異なるため、事例・出典として扱いません。
- デマの本文は見抜くために必要な最小限だけ引用し、偽画像・偽動画そのものは再掲しません。
- 実在の被害を伴う歴史的事例は「史料モード」で表示し、キャラクター表現を用いません。
出典について
- すべての事例に出典(URL・発行者・取得日)を付しています。出典のない情報は掲載しません。
- 統計・件数はすべて収録データからの機械生成で、手書きの数値はありません。
- 検証機関・報道の記事は本文を転載せず、事実の記述とリンクのみで参照しています。
分類について
本図鑑は、デマのライフサイクル全体を捉える独自の4系統(錬成系=つくる/化かし系=歪めて見せる/憑依系=ひろめる/蘇り系=よみがえる)で手口を分類しています。1つの事例には複数の妖怪(手口)が関与するため、事例と妖怪は多対多で結びます。生成・表現系の手口の一部は、誤情報研究の確立した分類である Claire Wardle "Fake news. It's complicated."(First Draft, 2017)の7類型に対応します(各妖怪ページに注記)。
匿名化方針
- デマの発信者・拡散者は、報道で氏名が公表されている場合も含め、常に匿名(「投稿者」等)で記述します。
- デマの標的にされた個人は役職・属性(「当時の首相」「著名な実業家」等)で記述します。URL(事例ID)にも個人名を含めません。
- デマの標的にされた集団(民族・国籍・地域・職業等)は、属性の総称で記述します。歴史的事例の完全な記録は、各ページに示す一次資料(出典)を参照してください。
- 検証・否定を行った機関(省庁・検証機関・企業等)は、出典の主体として実名で記載します。
- デマの標的・被害者となった組織(公的機関、および検証機関が実名で決着させた社会的事案の大規模な企業・ブランド)は、検証主体の記載に沿って実名で記述することがあります。営利事業者を評価・格付けする目的の実名記載は行いません。
- 出典記事のタイトルに含まれる氏名は、引用として原文のまま表示しています。
訂正・削除のご依頼
掲載内容の誤り・権利に関わるご指摘は [email protected] までお寄せください。編集方針に基づき、確認のうえ訂正記録を残して対応します。実名で言及している組織からの訂正・削除のご要請には、内容を確認のうえ速やかに対応します。