「(実在しない住所で)救助を求めている人がいる」
何が起きたか顛末 2024.01
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発災直後、救助を求める投稿が押し寄せる——24時間で1,091件
2024年1月1日の能登半島地震の直後、X(旧Twitter)には救助を求める投稿が押し寄せた。情報通信研究機構(NICT)の災害状況要約システムD-SUMM(分析対象はXの日本語投稿の10%)によれば、発災後24時間の間に投稿された救助を求める報告は、総報告数16,739のうち1,091件。2016年の熊本地震(総報告数19,095のうち573件)と比較して倍増した。そしてその中には、実在しない住所を載せた偽の救助要請が混じっていた。
発災後24時間に投稿された「救助を求める報告」 16,739件中 1,091件 2016年熊本地震(573件)から倍増(NICT D-SUMM分析・対象はXの日本語投稿の10%・白書掲載) -
コピーされる救助要請——ユーザーの9割は日本語使用者以外と推定
拡散には特徴があった。東京大学の研究者は、善意による投稿もあるが、閲覧数稼ぎを目的としたと考えられる救助要請の複製投稿や、金銭搾取を目的としたと考えられる虚偽の救助要請・振込依頼の投稿が見られたと指摘する。複製投稿については、そのユーザーのうち9割が日本語使用者以外と推定された。白書はX社の集計として、能登半島地震に関する偽・誤情報を含む投稿の主なものに「救助要請」に関する投稿が約21,000件あったと記録している。
救助要請の複製投稿のユーザーのうち、日本語使用者以外と推定された割合 9割 閲覧数稼ぎを目的としたと考えられる複製投稿(東京大学の研究者の指摘・白書掲載) -
みやぶられる 決着
「厳に慎んでほしい」——発災翌日、国が動く
震災翌日の1月2日、首相(当時)は記者会見で、被害状況などについての虚偽情報の流布に触れ、「決して許されない」「厳に慎んでほしい」と呼びかけた。総務省は同日、主要プラットフォーム4社(LINEヤフー・X・Meta・Google)に利用規約等を踏まえた適正な対応を要請し、1月5日には投稿削除・アカウント停止件数などについて毎日の報告を求める連絡を始めた。Xは無関係なコンテンツをスパムとしてラベル付けし、QRコードを活用した疑わしい支援要求についてはアカウントを凍結したと報告している。NICTのシステムが救助を求める報告1,091件のうち矛盾を検出したのは254件、デマと推定できたのは104件。システムが分析するのはXの日本語投稿の10%だが、2016年熊本地震で偽情報とみられた報告は1件であり、白書は「SNS上で偽情報がより多く投稿されていたことが分かった」と記録している。
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そのあと 余波
「救命・救助活動を妨げる」——白書に残された記録
この経験は、令和6年版情報通信白書のコラム「災害時における偽・誤情報への対応」に記録された。白書は、偽・誤情報の流通・拡散が「迅速な救命・救助活動や円滑な復旧・復興活動を妨げる等深刻な問題となった」と総括し、生成AIの技術発展が進む中で、今後もさらに精巧な偽動画像が簡単に生成され、偽・誤情報の流通・拡散が飛躍的に増加することが懸念されるとしている。
見抜きポイント
- 救助要請の転載は、住所の実在・同じ文面の重複投稿・アカウントの履歴を確認してから
- 正確な情報の入手先として、政府・自治体のホームページや放送のほか、ファクトチェック団体による情報も有用とされる(白書)
この事例を生んだ妖怪
先頭がメインの手口。妖怪はデマの「手口」の姿であり、発信者・拡散者を指しません。
実害
偽・誤情報の流通・拡散が「迅速な救命・救助活動や円滑な復旧・復興活動を妨げる等深刻な問題となった」と白書は記録している。救助要請の複製投稿には閲覧数稼ぎを目的としたと考えられるものがあり、そのユーザーのうち9割が日本語使用者以外と推定された。